年金という言葉に皆さんはどのようなイメージをお持ちでしょうか。受給開始時期の後ろ倒し、少子高齢社会、年金2000万円問題等、ネガティブな話題ばかりの年金制度ですが、その仕組み自体について考えたことはありますでしょうか。本日は年金の基本的な仕組みを見ていきたいと思います。
仕組み
公的年金とは、若い時に保険料を納めることで、年老いた時や病気やケガで障害が残った時に等に年金を受け取ることができる制度です。
日本の公的年金制度は20歳以上60歳未満の方に加入の「義務」がある「国民年金」と会社員等が加入する「厚生年金」の大きく2つに分けることができます。そして、厚生年金に加入している人は国民年金と厚生年金の2つの受給権を保有することから「2階建て」と表現されることがあります。
国民年金
国民年金を考える上で良く出てくるのが、「第何号被保険者」に該当するかという話です。自営業者や学生は「第1号被保険者」、公務員や会社員は「第2号被保険者」、第2号被保険者に扶養される年収130万円未満の者は「第3号被保険者」と分類されます。
なお、国民年金の保険料には収入や年齢による差はなく、執筆時点では月額16,590円を平等に負担することになっています(払い方や経済状況によって変動あり)。また、毎月の保険料に追加で400円上乗せすることで、将来的に受け取る年金額を増やすことができる「付加保険料制度」もあります。
保険料の納付が難しい場合
保険料の納付が難しい場合には、以下の免除・猶予制度があります。
・全額免除・一部免除制度
・納付猶予制度
・学生納付特例制度
厚生年金
厚生年金加入者の保険料は国民年金の保険料共に毎月の給料より天引きされています。国民年金の保険料が定額であったのに対して、厚生年金保険料は毎月の給料額と賞与額に対して保険料率(18.3%)を掛けた金額が保険料となります。
なお、厚生年金の保険料は勤務先と折半での支払いとなるため、個人の負担は9.15%となります。厚生年金の受給額は加入する期間と支払った保険料により算出され、例えば加入期間が40年、期間内平均収入が毎月43.9万円の場合、老齢厚生年金が毎月約9万円、老齢基礎年金(国民年金)が毎月約6.5万円の合計15.5万円を毎月受給することができます(厚生労働省 参照)。
その他
上述の受給金額を見て「少ない」と感じた方も多いのではないでしょうか。この受給金額が少ないために老後の資金が不足してしまう問題が「老後資金2000万円不足問題」として話題となりました。その不足分を補うため、2階建て部分に更に上乗せで、「企業年金」や「個人型確定拠出年金」、「個人年金保険」等が存在しています。特に後の2つは完全に個人でやるのかやらないのかを決定することができます。
今までの時代は、若い頃に年金を払っておけば老後の資金について心配する必要はありませんでしたが、その時代はとっくに過ぎ去りました。今は自助努力で老後資金を作っていかなければいけない時代です。そのためにはどのくらい老後資金が必要なのか、まずはその仕組みから理解する必要がありそうです。
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